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2006年04月

ゲームレビュー

ファーレンハイト④

  • 2006-04-25 (Tue)
  • ゲームレビュー

■ ドラマの主人公を自分が演じているようなゲーム

陳腐で使い古された表現かもしれない。しかし、この『ファーレンハイト』では、これをかなり高いレベルで実現していると思うのだ。

言い換えれば、ゲーム内のキャラになりきってロールプレイできる魅力があるということ。

これは、没入度の高いストーリー(前半部分のみ)や、人間臭くて説得力のある人物描写のおかげである。

……と、言い切ってしまうと話が終わってしまうので、ここではゲームシステムの部分にも着目したい。

ゲームを「ドラマ」のように感じさせる要因としては、【時間の流れをとぎらせない演出】にある。また、「演じている」と感じさせるのは、キャラクターとプレイヤーとの【一体感を強くするシステム】にあると考えている。

より具体的な要素をおおざっぱに挙げると、

1) 台詞がフルボイスであり、スキップや巻き戻しなどができない
2) 選択肢を選ぶ際には必ず時間制限がある
3) 行動ができる時間に制限のあるシーンが多い
4) 扉を開けるなど、オブジェクトに対する操作が特殊
5) コマンド入力式の独特なアクションシーンなど

といったところだろうか。

箇条書きにしてみると、なんだかデメリットのように見えてしまうかもしれない。

……と、まあ、詳しくは次回以降に解説していこうと思う。

ゲームレビュー

ファーレンハイト③

  • 2006-04-24 (Mon)
  • ゲームレビュー

■ なかなか練られているマルチキャラクターシステム

本ゲームでは、3人のキャラクターを操作しながらストーリーが進んでいく。

● 何者かに操られ殺人を犯してしまう主人公、ルーカス・ケイン
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● 殺人事件の謎を追う女警部、カーラ・バレンティ
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● カーラの良き相棒、タイラー・マイルズ
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操作するキャラクターはチャプターの冒頭で選択できる。各チャプターは時間帯で分けられており、同じ時間帯のストーリーを最大3つのキャラクター視点で楽しめるというわけだ。

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たとえば、ある時間帯では、主人公を選ぶと「公園とある人物と会う」シーンがプレイできる。そのシーンをクリアした後は、また同じ時間帯の別のキャラクター視点でプレイできるというわけ(主人公を後でプレイすることもできる)。

なお、主人公とその他2人のキャラクターが同じ場面にいた場合は、主人公視点のみのシーンとなる。「ザッピングシステム」でありがちな、「同じセリフを別視点で何度も聞く」ということにはならない。

まあ、こういったマルチキャラクターシステム自体はそれほど珍しくない。本ゲームで独特なのは、犯人側とそれを追う警察側という、2つの視点でストーリーが進行する点だ。

本レビューの第一回目で解説したように、ゲームの導入部分で主人公は殺人を犯す。その後、プレイヤー自身が証拠を消したり、店員に話しかけたなど、何かしらの行動を起こすことができる。

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▲ 殺人の証拠を消すプレイヤー。まあ、どっちにしろ証拠は見つかってしまうのだが。

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▲ 殺人を犯しているのに堂々と振る舞うことも。これらの行動も次のシーンで反映される。

で、次のシーンに進行すると、今度は警察側の視点になる。

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▲ 事件のあったレストランに登場するカーラとタイラー。ここから捜査が始まる。

主人公の行った行動によって、聴き取り調査や物証などの部分が変化するというわけだ。

犯人と警察、両方の視点で話が進むというのは、『刑事コロンボ』的な面白さ(最近の作品で言えば『デスノート』か?)がある。すべてわかった上で、両者のせめぎ合いを楽しめるのだ。

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▲ 主人公とタイラーの直接対決。タイラーの質問に正直に答えるか、上手くごまかすか……・?

ただ、後半は両者とも殺人事件に隠された陰謀(?)の話に収縮していって、せめぎ合い色は薄れてしまう。

とはいえ、この犯人と警察という両視点て繰り広げられるシステムは、ゲームとしてはありそうでなかった面白いストーリー進行だといえよう。

ゲームレビュー

ファーレンハイト②

  • 2006-04-23 (Sun)
  • ゲームレビュー

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前回、スゴイ勢いで褒めてしまった『ファーレンハイト』。

正直なところ、100点満点のゲームなのかと聞かれると、「うーん、面白いけど、75点ぐらい?」という感じ。突出して良くできている部分もあるが、糞ゲーになりうる要素も(結構)ある。

今回はその「惜しい点」をいくつか紹介しよう(若干ネタバレ的な話を含むので注意)。

● 後半のストーリーがグダグダ
このゲーム、前半は超面白い。それこそ『24』にも匹敵するドキドキハラハラな展開なのだ。しかし、中盤あたりからはC級映画レベルに成り下がってしまう。

最初はリアリティのあるサイコスリラー的な話だったのに、超能力とか、古代文明とか、アーティファクトとか、人類滅亡(!)とか……次第にわけのわからない壮大(?)な方向になってしまうのだ。

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展開も急すぎて、説明もあまりされないことが多く、プレイヤーは置いてけぼり。もっと進めれば理解できるのかと思いきや、どんどん訳のわからない方向になって、気がつけばエンディング……という感じ。

ただ、前半の勢いがスバラシイので、その期待感から、最後まで進めようとするモチベーションが保たれるのが救いだろう。

● アクションシーンのシステムが微妙
本ゲームでは、コマンド入力式のアクションシーンが登場する。

これは、キャラクターを直接操作するというものではなく、画面に表示されるコマンドを入力するタイプだ。コマンドが成功すれば、イベントやそのシーンが先に進むというわけ。古くは『タイムギャル』、最近では『バイオハザード4』とか『シェンムー』などでも取り入れられた古典的な手法だ。

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他のゲームと違うのは、このアクションシーンが頻繁に登場するということ。ゲームの50%ぐらいはこのアクションシーンで進行するといってもいい。敵と戦うとか、心の動揺を落ち着かせるとか、警察の尋問で嘘を見破られないようにするとか、様々な場面でこのコマンド入力が行われる。

コマンド自体はシンプルだ。次々に指定される方向キーを押したり、左右のキーを交互に連打したりという内容にとどまっている。なので、「クリアできねー!」という難易度ではないだろう(レベルをイージーに設定すれば、コマンド入力の難易度が緩和される)。

さて、こういったコマンド入力タイプって、大抵すっごいつまんないんだけども、このゲームではまあまあ面白い要素にはなっていると思う。

なぜなら、このゲームでのコマンド入力には、実際のプレイヤー自身とゲーム内のキャラとの心情をシンクロさせる「心理的な演出機能」といった側面があるからだ。

たとえば、何らかのピンチに陥ったシーン。ゲーム内のキャラには冷静さが求められている。ここでこのコマンド入力が登場する。実際のプレイヤー自身も、慌てずに冷静なキー入力が必要になるわけだ。

また、最後の方に登場する敵との長い戦闘シーンでは、次々現われるコマンドを入力していかなければならない。立て続けに現われるコマンドを素早く、しかもノーミスで入力していくうちに、なんだか「俺つええええ!」的な高揚感が得られていく。

……でも、もう少し何とかならかなったのか、と思う。

コマンド入力が始まると、たいていは結構な時間それが続く。その間、プレイヤーは表示されるコマンドに意識が向いている。しかし、入力中はシナリオがリアルタイムで進行していく。セリフは流れるわ、ムービーも進行するわで、肝心の話にまったく集中できないことが多いのである(逆に、この時間の流れを止めない“リアルタイム感”が魅力のひとつでもあるのだが)。

さらに、このコマンド入力自体は、ゲームとして単純すぎる内容なので面白くない。これが繰り返されると「またコマンドかー」と、プレイヤーが飽きてしまう恐れもある。

かといって、このコマンドをなくしてしまったら、たぶん味気なくなってしまうだろうし、よりゲームとして内容を複雑にするのもイライラするだけで良くないだろう。

そういった意味で、つまらなくはないけど、ちょっと惜しいのだ。

「心理的な演出」という機能を持たせられる、もう少し違った工夫や仕組みがあれば良かったとは思う。

ゲームレビュー

ファーレンハイト①

  • 2006-04-23 (Sun)
  • ゲームレビュー

前から気になったいたアドベンチャーゲーム『ファーレンハイト』。日本語PC版が今月ようやく登場したので早速プレイ。

つーか、これ、かなり面白い!久々にエンディングまで一気にクリアしてしまいました。プレイ時間は10時間ぐらいかな?

ということで、数回に分けてこのゲームの魅力を解説できればと。

■ゲーム開始直後(導入部分)の面白さは超A級品!
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舞台は現代のニューヨーク。

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そして、事件はあるレストランのトイレで起こる。

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カメラアングルが個室に切り替わる。明らかに様子がおかしい人物。これが主人公である。

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目がいっちゃってる。

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個室を出る主人公。その動きは何かに操られているかのよう。洗面台にはサラリーマン風のオッサンが。

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オッサンがあぶない!!!!

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主人公は何らかの意志に操られ、オッサンを殺してしまう。

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どどーん!!

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ハッと意識が戻る主人公。

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「お、俺じゃねぇ……」

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と、ここで海外ドラマ『24』のようなマルチスクリーンに。レストランのカウンターには、客として警察官がいるようだ。

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「殺したのは俺じゃないけど、逃げなくちゃ!!!」

ということで、ここからキャラクターを操作できるようになる。警察官に殺人現場が見つかる前にレストランから逃げるのだ。できれば証拠も消しておきたいぜ!

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まずは、発覚を遅らせるために死体を個室へ……。

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その他にも、いろいろ証拠を消しておくプレイヤー。ただ、あまり時間をかけていると、警察官がトイレに来てしまう。冷静かつスピーディに行動するのだ。

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警官がトイレに来た!プレイヤーはすれ違いでトイレを出て、レストラン裏口から脱出!そして警官は怪しい血痕を発見。

……という感じでゲームの導入部分は終了。結構おもろそうでしょ? 

いきなり主人公が殺人犯となってしまう(ゲームとしては)奇抜な展開。すばやく証拠を消して警察から逃げるというヒリヒリするシチュエーション。これ、プレイヤーを鷲づかみにする、かなりよくできた導入部分だと思うんだけどねー。

ちなみに、ここでは

【証拠をすべて消して、誰にも見られずに裏口から逃げる】

という行動をしてるけど、

【ある程度の証拠を消して、堂々と入り口から出る】とか、
【何も証拠を消さずに、血まみれのまますぐ逃げる】とか、
【何故か自分の席に戻って、何事もなかったかのようにステーキを食べる】とか(?)

プレイヤーはある程度自由な行動が取れる。堂々と入り口から出る場合は、店員とか警察官に怪しまれているんじゃないだろうかとか考えちゃって、かなりドキドキする。

当然、その行動パターンによってその後の展開が変わってくる。とは言っても、大筋のストーリーが変わるってことはでなく、具体的には、登場人物のセリフが変わったり、普通では見られないシーンとかが出たりする程度らしい(まだ初回プレイしかしてないので、どの程度の変化が起きるかはよくわかってないケド)。

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