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2009年12月

ゲームレビュー

2009年勝手にベストゲーオブイヤー

  • 2009-12-28 (Mon)
  • ゲームレビュー
年末ということで、今年プレイしたゲームで印象に残ったものをいくつかの部門に分けてピックアップしていきたいと思います。あくまで「私が自分で今年プレイしたもの」なので、やや古いゲームが含まれていたり、単に暇な期間にプレイしたゲームの評価が高かったりと、かなり選定基準はあいまい。ただ、ひとつ言えるのは、きっちり最後(もしくはそれに近い状態)まで遊んだものだけを選定に入れているということ。ゆえにつまらなくて途中で投げたものは評価対象にしてません。もちろん、これ以外にも今年発売された面白いゲームはたくさんあると思うので、その辺はご了承いただきたい。また、基本的にXbox360とPCゲームの作品がメインとなります。

※なお、リンクしている動画はYouTubeから適当に拾ってきたもので、私のプレイ動画ではありません。

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●ベストオブプレイ時間ゲーム
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・Left4Dead&Left4Dead2(Xbox360+PC版)


L4Dはとにかく昨年からリアルフレンドとプレイしまくったゲーム。Xbox360でフレンドとひと通りエキスパートをクリアし、さらにPC版では別のフレンドとカスタムマップなどを含めて遊びまくった。気の知れた友達とゲームを遊べば楽しいのはあたりまえなのだが、それを差し引いても協力プレイ前提のゲームとしては珠玉の一品だと思う。まだ慣れていない頃にエキスパートを10時間ぐらい格闘してようやくクリアした時は、ゲーム人生の中でもトップクラスの充実度だった。日本だとXbox360とPCというマイナー機種でしか出ていないのが残念。もっと日本のユーザーに遊んで欲しいんだけどなあ。ちなみに、続編のL4D2は、出たタイミングが年末に近かったため、リアルフレンドがみな忙しく一度も一緒にプレイできてきない。年末年始の暇なときに誰か一緒にやってください……。

・BattleField1943(Xbox360)


マップが少なかったり、BFとしては参加人数が少ないという不満点もあるが、それでもかなり長時間プレイした対戦ゲーム。使用できる兵科が3つ、弾も体力も自動回復という、BFシリーズの中では大胆なカジュアル化が行われており、最初は「本当に面白くなるのか?」と疑問に思っていた部分もある。しかし、自分の大好物であるコンクエルールが気軽に楽しめるというのがツボにはまった。シンプルゆえに兵科バランスも抜群に良く、理不尽なやられ方もしないのも好印象。競技性を求めると確かに奥は浅いのだが、FPSはすでにカジュアルなゲームジャンルとして普及しているし、個人的にもそうすべきだと思うので、誰でも楽しめる対戦ゲームとしてはこのぐらいがちょうどいいのだろう。1,500円でダウンロード専用販売という挑戦的な販売スタイルも評価したい。


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●ベストオブカジュアルゲーム
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・Peggle(Xbox360+PC版)


上からパチンコ玉を1発だけ撃ち、ピンに当てて消していくだけという、ブロック崩しとパチンコを混ぜたようなシンプルなゲーム。面クリアごとに交響曲第9番(歓喜の歌)が流れるという大げさで馬鹿らしい演出が気分を盛り上げ、ついついプレイしてしまう魅力を持っているのだ。Xbox360版を先に購入したが、またやりたくなって別バージョンのPC版も購入するほどのお気に入り。個人的にはBGMも70年代っぽい渋いアレンジだったりして好みなのだ(この動画のBGMは普通だけどね)。ちなみに本作品のメーカーであるPopcapは、カジュアルゲーに特化した有名メーカーで、他にも「Plants vs. Zombies」という高評価ゲーを出している。iPhoneなどを含めた各プラットフォームでダウンロード販売が普及した関係で、こういったカジュアルゲームが主力になっていく可能性も高いので、今後とも注目していきたいところである。

・Trials HD(Xbox360)


数々の難関コースをクリアしていく横スクロール型のモトバイクトライアルゲーム。操作はアクセルワークと物理演算を使った体重移動のみと至極シンプルなのだが、ゲーム後半に登場するコースの難易度が異常で何度も死にまくる。しかし、死んだ場所のすぐ前から即リトライできたり、他人のリプレイを気軽に見れたり、レース中にフレンドの走行タイムとの差を表示してくれたりと、プレイヤーのモチベーションをうまく盛り上げてくれる仕組みが秀逸なので、何百回も挑戦してしまいたくなるのだ。難易度の高いゲームが嫌われがちになる現在のゲーム業界で、これだけユーザーに評価されているという点でも特筆すべき作品だろう。


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●ベストオブがっかりゲーム
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・Biohazard5(Xbox360)


正直なところそもそも期待はしていなかったが、その低い期待以下になってしまった作品。最先端の洋ゲーから拝借したような演出が多く、すべてが凡庸に映ってしまったといわざるを得ない。こういったHDゲーにおいての海外と日本の決定的な差は、決して技術力ではなくて、エンターテイメントとしての演出力なんだろうなあという印象を持った。また、「ベヨネッタ」でも感じたのだが、日本のHDゲームは「ゲームらしいゲーム」のお約束を何も考えずに入れてしまって、世界観のリアリティを損なうことが多い。たとえば、途中まで走ってくるけど主人公の目の前でお行儀よく立ち止まるゾンビとか、いくら撃っても弾を華麗に避けるイベントボス戦とか。これらは時代劇とかヒーロー戦隊ものとかから来ている「お約束」なのかもしれないが、ゲームの世界がリアルになるほど不自然に感じてしまう。世界観を壊さないようにしている作品が増えている中(L4Dのゾンビはマジで殺しに来ているように見えるし、DeadSpaceのHUD表現などはゲーム的表現を排除しようとしている)、こういった「ウソ臭い表現」は、うまく考えて入れてくれないと個人的には興ざめしてしまうのだ。

・CoDMW2(PC海外版)


もちろん今年登場したゲームの中でもトップクラスに良くできていて面白い。しかし、CoDシリーズをすべてプレイしている一ファンとしては、前作(CoD4)のインパクトと比べると微妙に感じてしまう部分があったのも事実。ゲーム界に多大な影響を与えた、スクリプト演出によるシングルFPSというスタイルは、これで一旦ひと区切りしたのではないのだろうか? 空港のテロシーンや最後のナイフを抜く演出など、いろいろと印象に残るシーンも確かにあるのだが、さすがにゲーム体験の方式としては飽きてきてしまった。マルチプレイも全体のバランス(過剰なキルストリークや時間のかかるレベル上げなど)に疑問を感じていて、今回はほとんどプレイしていない。前作よりもさまざまな要素が増えてはいるのだが、結果的にうまくかみ合っていない印象なのだ。深読みするとメーカー側の不安が、この「なんでも要素をプラスしてしまえ」というサービス精神につながっているのではと感じてしまったほどである。次回作のマルチは、ぜひ引き算的なシンプルな調整を望みたいところ。なお、今回の新要素であるCoopモードは意外と面白いらしいのだが、未プレイなので今回は評価していない。また、日本語版もほとんどプレイしていないので、スクエニのローカライズに関しても評価外である。


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●その他印象に残っているゲーム
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・FUEL(Xbox360)


ギネス級の広さをもつ箱庭をオフロードでかっ飛ばせるフリーダムなレースゲーム。かなりの凡作なのだが、ちょうど仕事が暇なときに遊んでいたので総プレイ時間が結構長くなった。理不尽で難易度の高いレースを「とにかくクリアしてやる」という意地だけで、最後までクリアしていったのはいい思い出。正直苦痛でしかないのだが、ある意味ファミコン時代のような純粋な(?)トライアンドエラー作業を思い出させてくれた一本でもある。ただ、素材はいいので、もう少し作りこめば面白いゲームになったであろう可能性は感じている。

・428(Wii)


※プレイ動画はなんかメーカーがかなり消しているっぽいのでOP映像を(ネタばれ避けるためだろうけど、ゲームの魅力が口コミで伝わりにくいからいまさらメリットないと思うんだけどなあ……)。

2009年の正月に知人から借りてプレイしていたチュンソフト渾身のサウンドノベル。ゲームとしては大変よくできていて、同ジャンルの作品群の中では最高潮のデキだとは思う。しかし、サウンドノベルという表現方法に限界も感じた一品。サウンドノベルというスタイル自体が新しかった時代はそれだけで面白かったけど、結局ストーリーを楽しむならDVDとか映画見たほうがエンターテイメントとして優秀だなあ……と元も子もないことを思ってしまった。これは最近話題になったXbox360の「シュタインズゲート」でも感じたこと。ゲームでしか表現できないこともあるとは思うんだけど、単純に最後までプレイするのに時間がかかりすぎるし、プレイヤーの選択でストーリーが変わるっていったって、結局単なるフラグ立て作業になるだけでいまさら魅力ではないという感じなんだよなあ。



……といった感じです。今年も結構な本数を遊んだと思うんだけど、意外と印象に残っているものはありきたりなものばかりですな。来年はもう少し掘り出し物っぽい作品も遊んでみたいところではあります。ちょうどSteamの年末年始セールもやっているところなので、いろいろと今年やり逃したゲームを探索中してみようかな。



雑記

Steamのホリデーセールが開始されました

  • 2009-12-23 (Wed)
  • 雑記
海外PCゲーが格安でダウンロード購入できる「Steam」では、週末やホリデーシーズンなどで行われる時限セールで「あの名作が90%OFF!」なんていう破格の商品も出たりする。それゆえ、実際はそれほどプレイする時間も気力もないのに、「このセール期間を逃したくない」という理由だけでゲームを購入してしまう人が多発しているのだ。そういったSteamでゲームを買うこと自体が目的化してしまった人々を、一部PCゲーマーの間では同情と哀れみの目で「プロスチマー」と呼んだりする。

「ゲームは遊んでこと価値があるのに、買うこと自体を楽しむなんて馬鹿らしい」と、あなたはそう思うかもしれない。しかし、それはSteamの怖さを知らないだけなのだ……。

ということで、本日(2009/12/23)から開始されたSteamのクリスマスセールがヤバイです。

Steam
http://store.steampowered.com/
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いろんな商品が安くなってるので、まだ状況が把握できてないのですが、とりあえず目玉になりやすいのがパックものでしょう。今回は、EidosとかCodemastarsのパックが比較的日本人でも魅力なのでは。

●Eidos COLLECTOR'S PACK
http://store.steampowered.com/sub/2687/

Batman: Arkham Asylum/今年のGOTYにもノミネートされた高評価アクションゲーム
MiniNinjas/カジュアルゲームながら意外と評判の良い忍者TPS
Battlestations: Midway/海戦好きの人には評価の高いシミュレーション系アクション
Hitman 2: Silent Assassin/日本でも人気のある暗殺ゲーム最新版
Just Cause/南国の島を箱庭にしたGTA風アクションゲー
Tomb Raider: Legend/トゥームレイダースのリニューアルシリーズ第一作目

上記以外にもいろいろな名作が付属して全部で20本のパック。これでたった49.99USドル。安い……。「こんなにゲーム買ってもやらねーよ!」という人は、今年評判だった「Batman: Arkham Asylum」単品(33.49USドル)だけでも購入すればいいのかも。ただ、これに千円ちょっとプラスするだけで、ほかにも20本のゲームが手に入っちゃうっていうんだから、コレクター心をくすぐってしまうワケです。Steam恐るべし。

●Codemasters COMPLETE PACK
http://store.steampowered.com/sub/2684/

DiRT 2/先日出たばかりのオフロード系レースゲーム(前作もパックに含まれる)
GRID/Codemastersの作るレースゲーは面白いと言わしめた名作レースゲー
Toca Race Driver 3/評判の高いオンロード系レースゲーム
FUEL/どこまでいっても自由な箱庭オフロードレースゲー
Operation Flashpoint: Dragon Rising/本格派の戦場シミュレーター系FPS
Overlord II/意外と面白いとうわさの洋ゲー版ピクミン

その他全部で18本がセットになって、74.99USドル。レースゲーム好きならオススメのパックでしょうね。ちなみに「Operation Flashpoint: Dragon Rising」は、購入してもまだ日本では未リリース状態なのでプレイできないっぽいです(未確認)。

もちろん、Steamで売られているゲームは基本的に海外ゲーなので、日本語に対応しているものはかなり数少なかったりします。ただ、いくつかのゲームは有志の日本語化パッチが存在するので、そういった情報もあわせてチェックしておくと英語が苦手な人でも購入の幅が広がります。また、日本語化できなくても単純なアクションゲームとかは英語のままでそれほど悩まずにプレイできるハズ(RPGとかアドベンチャーなどはつらいでしょうけど)。

有志が日本語化した海外ゲームのまとめ Wiki*
http://wikiwiki.jp/nihongoka/

なお、今回のセールでは日替わりのセール品もあるので、Steamのページを毎日チェックしておくべきでしょう。初日(2009/12/23)で出ている商品は以下の3つ。

●S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl/$1.99 USD
●Operation Flashpoint: Dragon Rising/$19.99 USD
●Defense Grid: The Awakening/$2.49 USD
※日本のSteamでのラインナップです。

数年前のゲームですが、いまだに人気の高いFPS「S.T.A.L.K.E.R.」が200円しないって……。しかもこの作品は有志のパッチで日本語化できるので、冬休みにじっくりプレイしたい人にはかなりオススメ。ちなみに続編の「S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky」も4.99USドルでセール中です。「Defense Grid」もタワーディフェンス系ゲームとしてはかなりの人気なので買っても損はしないでしょう。

うーん、私はなにを買おうかなあ。このセールは年始(2010/1/3)まで続くと思うので焦ったら負けです。基本は日替わりセールを追って行きながら、お得なものは購入し、パックものや日替わりセールじゃない単品ものはセール終了ギリギリまで待つのが賢いかと思います(通常のセール品は、日替わりセールでさらに安く売られる可能性があるため)。まあ、年始までまってたらプレイする時間なくなるから、さっさとやりたいゲームを買うのがゲーマーとしては正しいとは思いますが。ただ、本当の正しいスチマー(?)は、年末年始に前回のセールで買ったゲームを遊びつつ、来年プレイするゲームをこのセールで纏め買いする、という感じなのかも。すでに私もそうなりつつありますが……。

雑記

CoDMW2 スクエニ日本語版ローカライズに関しての雑感

  • 2009-12-05 (Sat)
  • 雑記
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いまさらですが、各所でスクエニ版MW2の日本語吹き替えについていろいろと言われていますな。今回は日本語音声+日本語字幕でローカライズされており、英語音声や英語字幕は選択できないようです。

※ちなみに規制はドイツ語版同じ感じで、空港シーンなどで無抵抗な人を殺すとゲームオーバーになってしまうというものに落ち着いたようです(公式サイト)。

●4gamer.net
警報! 発売日が急接近! 「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2」のプレイムービーを掲載(第1回)
http://www.4gamer.net/games/079/G007967/20091201007/

●ファミ通.com
日本版は吹替えで! ラストまで見逃すな『モダン・ウォーフェア2』日本語版プレイムービー
http://www.famitsu.com/game/news/1230070_1124.html

4gamerの記事にも書かれていますが、
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そう,日本語ローカライズにあたってスクエニが選んだのは,「吹き替え」なのだ。

えっ! と思うかもしれない。やはり洋ゲーは雰囲気重視で英語音声&字幕がいいなあという人も多いはずで,実は筆者もそう思っていた。しかし,ムービーからも分かるように,例によって戦場はたいへん慌ただしい。状況がダイナミックに変わり,そのつど新たな命令が飛んでくる。あちこちで爆発が起こり,思わぬところから伏兵が出現し,怒鳴り声が響きわたる阿鼻叫喚の地獄。そんな忙しいときにいちいち字幕を読んでいられないというか,日本語音声でストレートに指示が飛んでくるのは非常に分かりやすい。

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という感じで、一般的に洋ゲーの「日本語吹き替え」にはメリットデメリットが存在するわけです。

しかし、今回はネット上においてはネガティブな論調が強いみたいです。言われている否定的な意見をまとめると、

・日本語吹き替えだと戦場モノの雰囲気が台無し
・そもそも声優の演技があまりうまくない
・ムービーを見る限り誤訳や不自然な訳と思われる箇所がある
・というか、なんで英語音声+日本語字幕が選べないのか?

といったところでしょうか。

もちろん、スクエニは日本人ユーザーにとって良かれと思って日本語吹き替えしたわけですが(吹き替え自体お金がかかるので、それだけ力を入れて日本で売りたいんでしょう)、吹き替えでしか遊べないこと自体への批判もさることながら、そのローカライズのクオリティがあまり満足されていない様子。CoDMW2という世界で一番売れている超一流のゲームに対し、勝手にスクエニが手を加えてゲームの質が下がってしまっていることに対して怒っているわけですな。前作は英語音声+日本語字幕だったわけですし、特に前作ユーザーは「変なことせずに今回も字幕だけつけておけばいいのに」と思うのも当然でしょう。敵を倒したときの「ビューティフォー」とか「グッナイ」といった独特のセリフ回しにも愛着があるでしょうしね。

私もムービーをチェックしましたが、ローカライズの質はまあ並レベルといった感じ。マイクロソフトの「Gears of War」のような非常に質の高いローカライズレベルには達していません。とはいえ、ここまで叩かれているのはちょっと驚きました。個人的には、MW2のローカライズレベルは他のゲームと比べても一般的なレベルだとは思うんですけどねえ(もちろん、決して品質を褒めているわけではなく、普通こんなもんなんじゃないの?的な意味で)。

正直なところ、個人的には日本語吹き替えをすること自体に対してはあまり否定的ではないです。MW2に関しては、すでに海外のPC版をクリアしてしまっているのもあるので、吹き替え版も別の意味で楽しみだったり(Xbox360日本語版も購入予定)。とはいえ、もし、最初から吹き替え版しか遊べないならやっぱり不満かもしれません。

私は普段洋ゲーばっかりプレイしているので、ローカライズしてくれるだけで「ありがてえ……」と思ってしまうんですよね。たいていのゲームでは、多少の誤訳や不自然さなどは日常茶飯事ですから。吹き替え自体も、確かに雰囲気は安っぽくなりますが、下手に有名人を使ってひどい演技を聞かされる某プリンスオブペルシャに比べたらMW2は全然マシだなあ、とか考えてしまいます。いかんいかん。

本来は、これだけ注目されている一流のゲームに対しては、並レベルのローカライズではなく、一流のローカライズが求められるべきなんでしょう。予算や手間の問題で洋ゲーをきっちりと日本人向けにローカライズできるメーカーが少なくなっている今、CoDMW2ぐらいは完璧なローカライズを手がけてほしかったところでもあります。とはいっても、「007/慰めの報酬」においてのスクエニ版ローカライズも並レベルだったから、最初から期待してなかった部分もあるんですけどね。

ちなみに、誤訳について騒がれている問題ですが、今回に関しては「Call of Duty 日本語字幕 Wiki」の存在が大きいようです。

●Call of Duty 日本語字幕 Wiki
http://codtrans.tngc.jp/

普通のローカライズゲームではあんまり誤訳について話題になることはないと思うのですが、今回これだけ騒がれているのは、このシリーズはもともと注目度が高かったことと、すでに海外版をプレイしている人が多く、この日本語字幕Wikiを活用していて、容易に原文と比較できたということが関係している思います(スクエニ自体を快く思ってなかった人のネガティブキャンペーンという部分も大きいのでしょうけど)。

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誤訳として各所で指摘されているのはロシア人が空港テロを起こす場面の「Remember - no Russian.」というセリフ部分。「いいか、ロシア語は喋るな(日本語Wiki)」とするか「殺せ、ロシア人だ(スクエニ版)」とするかでは、ストーリーの流れ上でも意味がかなり違ってきます(ロシア人がアメリカ人のふりをしてロシアの空港でテロを起こし、それがきっかけでロシアがアメリカに戦争を仕掛けるため)。訳として正しいのは日本語版Wikiの方でしょう。

さらに、日本語版ではこのシーンで「民間人を殺すとゲームオーバー」という規制が入っているため、「ロシア人を殺せ」という指示に何も考えずに従うと、そのままゲームオーバーになるという状況になりかねません。

このように、現在公開されているプレイムービーの範囲でしかわかりませんが、ゲーム進行上重要な部分のセリフの誤訳がすでにいくつか指摘されているようです。

個人的に気になったのは、日本語Wikiで「よし、気を抜くなよお前ら、ここは無法地帯だ」と訳されている部分が、スクエニ版は「用心しろ。ここは荒野のウエスタンだぞ」と訳されているところ。これもスクエニ版の訳がおかしいと一部で指摘されていますが、原文を見ると翻訳の難しさを知ることになります。

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原文は「Alright, stay frosty you guys, this is the Wild West.」というもの。これは、敵対組織の陣地に踏み込んでいる状況で「危ない場所だから気をつけろよ」といったような意味で言われるセリフです。原文では「危ない場所」を「Wild West」とややユニークなニュアンスで表現しているわけですね。

スクエニ版だと直訳なので、決して間違ってはいません。しかし、いきなり「荒野のウエスタンだ」といわれても西部劇などに疎い日本人はポカーンとしてしまうでしょう。なので日本語Wikiのように「無法地帯だ」といったほうがわかりやすいとは思います。

ただ、「無法地帯だ」だけでは原文に含まれる「Wild West」のニュアンスが伝わっていません。なので、これも一番最適な訳なのかどうかは微妙なところ。日本人にはやや理解しにくい部分なの訳しにくいセリフでしょう。

といった例もあるので、まあ、ネットで言われていることをそのまま鵜呑みにして「誤訳だ誤訳だ」と騒ぐ前に、一応原文をチェックしてみることをオススメします。

個人的には、ローカライズの質に関しては置いておいて、なんで英語音声と日本語音声の両方を選べるようにしないのかなーというところが気になります。

これは完全な予想ですが、恐らく元のシステムが音声や字幕切り替えの機能を搭載していないので、ローカライズを担当するスクエニ側では元の音声と字幕のデータを差し替えるしかできない状況なのだと思います(もしかしたら単純に音声データの容量の問題で、日本語と英語のどちらかしか収録できないのかもしれませんが)。切り替えを実現するには、プログラム自体を書き換えないといけない。でもそれはスクエニ側ではいろいろな問題でいじれないんでしょう。

追記:ファミ通のサイトにこんな記事がありました
http://www.famitsu.com/game/news/1230281_1124.html

もしそうならば、これはローカライズ時の音声/字幕切り替えを考えてないInfinity Ward側にも問題があるのかも。これだけ世界で売れるゲームを作っていながら、切り替え機能もつけてないのはどういうことなんだろうか。確かに、世界的には吹き替えで楽しむ国が通常で、原語+字幕で映画を見たりゲームをしたい人が多い日本のような国はマイノリティな様子。Infinity Ward側は言語切り替えといった需要なんかまったく考えていないのかもしれないですね。

まあ、自由に各国の音声や字幕を切り替えられる親切なゲームっていうのはそんなに存在しないのも事実なんですけど。とはいえ、次回作では日本のローカライズ側の意見をより組みいれたシステム作りを整備して欲しいところでもあります。

もちろん、こういった重要な情報を直前まで流さない不親切なスクエニにもいろいろと問題はあるかと思います。日本語吹き替えで喜ぶ人も多いと思うのに、なんでこのタイミングで発表なんだろうか……。ビックな宣伝材料として発売ギリギリで発表して期待をあおりたかったのかな? まあ、これだけ騒がれれば宣伝効果はバツグンに高くなったともいえます。あと、空港シーンの規制も今になってようやく発表しましたね。ユーザーが海外版に流れてしまうのを恐れて不利になる情報をわざと流さないのは企業としては当然かもしれませんが、その態度はちょっと気に食わない。

今回に関しては、とにかく日本語版も世界同時発売ができていれば、海外版なんて買う人が少なかったと思うのに。時間のかかる吹き替えもいいですけど、まずは日本語字幕版を最短で出して、音声吹き替え版はまた後で発売するとかしてくれればなー。まあ、非現実的ですが。


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