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雑記

CoDMW2 スクエニ日本語版ローカライズに関しての雑感

  • 2009-12-05
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いまさらですが、各所でスクエニ版MW2の日本語吹き替えについていろいろと言われていますな。今回は日本語音声+日本語字幕でローカライズされており、英語音声や英語字幕は選択できないようです。

※ちなみに規制はドイツ語版同じ感じで、空港シーンなどで無抵抗な人を殺すとゲームオーバーになってしまうというものに落ち着いたようです(公式サイト)。

●4gamer.net
警報! 発売日が急接近! 「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2」のプレイムービーを掲載(第1回)
http://www.4gamer.net/games/079/G007967/20091201007/

●ファミ通.com
日本版は吹替えで! ラストまで見逃すな『モダン・ウォーフェア2』日本語版プレイムービー
http://www.famitsu.com/game/news/1230070_1124.html

4gamerの記事にも書かれていますが、
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そう,日本語ローカライズにあたってスクエニが選んだのは,「吹き替え」なのだ。

えっ! と思うかもしれない。やはり洋ゲーは雰囲気重視で英語音声&字幕がいいなあという人も多いはずで,実は筆者もそう思っていた。しかし,ムービーからも分かるように,例によって戦場はたいへん慌ただしい。状況がダイナミックに変わり,そのつど新たな命令が飛んでくる。あちこちで爆発が起こり,思わぬところから伏兵が出現し,怒鳴り声が響きわたる阿鼻叫喚の地獄。そんな忙しいときにいちいち字幕を読んでいられないというか,日本語音声でストレートに指示が飛んでくるのは非常に分かりやすい。

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という感じで、一般的に洋ゲーの「日本語吹き替え」にはメリットデメリットが存在するわけです。

しかし、今回はネット上においてはネガティブな論調が強いみたいです。言われている否定的な意見をまとめると、

・日本語吹き替えだと戦場モノの雰囲気が台無し
・そもそも声優の演技があまりうまくない
・ムービーを見る限り誤訳や不自然な訳と思われる箇所がある
・というか、なんで英語音声+日本語字幕が選べないのか?

といったところでしょうか。

もちろん、スクエニは日本人ユーザーにとって良かれと思って日本語吹き替えしたわけですが(吹き替え自体お金がかかるので、それだけ力を入れて日本で売りたいんでしょう)、吹き替えでしか遊べないこと自体への批判もさることながら、そのローカライズのクオリティがあまり満足されていない様子。CoDMW2という世界で一番売れている超一流のゲームに対し、勝手にスクエニが手を加えてゲームの質が下がってしまっていることに対して怒っているわけですな。前作は英語音声+日本語字幕だったわけですし、特に前作ユーザーは「変なことせずに今回も字幕だけつけておけばいいのに」と思うのも当然でしょう。敵を倒したときの「ビューティフォー」とか「グッナイ」といった独特のセリフ回しにも愛着があるでしょうしね。

私もムービーをチェックしましたが、ローカライズの質はまあ並レベルといった感じ。マイクロソフトの「Gears of War」のような非常に質の高いローカライズレベルには達していません。とはいえ、ここまで叩かれているのはちょっと驚きました。個人的には、MW2のローカライズレベルは他のゲームと比べても一般的なレベルだとは思うんですけどねえ(もちろん、決して品質を褒めているわけではなく、普通こんなもんなんじゃないの?的な意味で)。

正直なところ、個人的には日本語吹き替えをすること自体に対してはあまり否定的ではないです。MW2に関しては、すでに海外のPC版をクリアしてしまっているのもあるので、吹き替え版も別の意味で楽しみだったり(Xbox360日本語版も購入予定)。とはいえ、もし、最初から吹き替え版しか遊べないならやっぱり不満かもしれません。

私は普段洋ゲーばっかりプレイしているので、ローカライズしてくれるだけで「ありがてえ……」と思ってしまうんですよね。たいていのゲームでは、多少の誤訳や不自然さなどは日常茶飯事ですから。吹き替え自体も、確かに雰囲気は安っぽくなりますが、下手に有名人を使ってひどい演技を聞かされる某プリンスオブペルシャに比べたらMW2は全然マシだなあ、とか考えてしまいます。いかんいかん。

本来は、これだけ注目されている一流のゲームに対しては、並レベルのローカライズではなく、一流のローカライズが求められるべきなんでしょう。予算や手間の問題で洋ゲーをきっちりと日本人向けにローカライズできるメーカーが少なくなっている今、CoDMW2ぐらいは完璧なローカライズを手がけてほしかったところでもあります。とはいっても、「007/慰めの報酬」においてのスクエニ版ローカライズも並レベルだったから、最初から期待してなかった部分もあるんですけどね。

ちなみに、誤訳について騒がれている問題ですが、今回に関しては「Call of Duty 日本語字幕 Wiki」の存在が大きいようです。

●Call of Duty 日本語字幕 Wiki
http://codtrans.tngc.jp/

普通のローカライズゲームではあんまり誤訳について話題になることはないと思うのですが、今回これだけ騒がれているのは、このシリーズはもともと注目度が高かったことと、すでに海外版をプレイしている人が多く、この日本語字幕Wikiを活用していて、容易に原文と比較できたということが関係している思います(スクエニ自体を快く思ってなかった人のネガティブキャンペーンという部分も大きいのでしょうけど)。

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誤訳として各所で指摘されているのはロシア人が空港テロを起こす場面の「Remember - no Russian.」というセリフ部分。「いいか、ロシア語は喋るな(日本語Wiki)」とするか「殺せ、ロシア人だ(スクエニ版)」とするかでは、ストーリーの流れ上でも意味がかなり違ってきます(ロシア人がアメリカ人のふりをしてロシアの空港でテロを起こし、それがきっかけでロシアがアメリカに戦争を仕掛けるため)。訳として正しいのは日本語版Wikiの方でしょう。

さらに、日本語版ではこのシーンで「民間人を殺すとゲームオーバー」という規制が入っているため、「ロシア人を殺せ」という指示に何も考えずに従うと、そのままゲームオーバーになるという状況になりかねません。

このように、現在公開されているプレイムービーの範囲でしかわかりませんが、ゲーム進行上重要な部分のセリフの誤訳がすでにいくつか指摘されているようです。

個人的に気になったのは、日本語Wikiで「よし、気を抜くなよお前ら、ここは無法地帯だ」と訳されている部分が、スクエニ版は「用心しろ。ここは荒野のウエスタンだぞ」と訳されているところ。これもスクエニ版の訳がおかしいと一部で指摘されていますが、原文を見ると翻訳の難しさを知ることになります。

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原文は「Alright, stay frosty you guys, this is the Wild West.」というもの。これは、敵対組織の陣地に踏み込んでいる状況で「危ない場所だから気をつけろよ」といったような意味で言われるセリフです。原文では「危ない場所」を「Wild West」とややユニークなニュアンスで表現しているわけですね。

スクエニ版だと直訳なので、決して間違ってはいません。しかし、いきなり「荒野のウエスタンだ」といわれても西部劇などに疎い日本人はポカーンとしてしまうでしょう。なので日本語Wikiのように「無法地帯だ」といったほうがわかりやすいとは思います。

ただ、「無法地帯だ」だけでは原文に含まれる「Wild West」のニュアンスが伝わっていません。なので、これも一番最適な訳なのかどうかは微妙なところ。日本人にはやや理解しにくい部分なの訳しにくいセリフでしょう。

といった例もあるので、まあ、ネットで言われていることをそのまま鵜呑みにして「誤訳だ誤訳だ」と騒ぐ前に、一応原文をチェックしてみることをオススメします。

個人的には、ローカライズの質に関しては置いておいて、なんで英語音声と日本語音声の両方を選べるようにしないのかなーというところが気になります。

これは完全な予想ですが、恐らく元のシステムが音声や字幕切り替えの機能を搭載していないので、ローカライズを担当するスクエニ側では元の音声と字幕のデータを差し替えるしかできない状況なのだと思います(もしかしたら単純に音声データの容量の問題で、日本語と英語のどちらかしか収録できないのかもしれませんが)。切り替えを実現するには、プログラム自体を書き換えないといけない。でもそれはスクエニ側ではいろいろな問題でいじれないんでしょう。

追記:ファミ通のサイトにこんな記事がありました
http://www.famitsu.com/game/news/1230281_1124.html

もしそうならば、これはローカライズ時の音声/字幕切り替えを考えてないInfinity Ward側にも問題があるのかも。これだけ世界で売れるゲームを作っていながら、切り替え機能もつけてないのはどういうことなんだろうか。確かに、世界的には吹き替えで楽しむ国が通常で、原語+字幕で映画を見たりゲームをしたい人が多い日本のような国はマイノリティな様子。Infinity Ward側は言語切り替えといった需要なんかまったく考えていないのかもしれないですね。

まあ、自由に各国の音声や字幕を切り替えられる親切なゲームっていうのはそんなに存在しないのも事実なんですけど。とはいえ、次回作では日本のローカライズ側の意見をより組みいれたシステム作りを整備して欲しいところでもあります。

もちろん、こういった重要な情報を直前まで流さない不親切なスクエニにもいろいろと問題はあるかと思います。日本語吹き替えで喜ぶ人も多いと思うのに、なんでこのタイミングで発表なんだろうか……。ビックな宣伝材料として発売ギリギリで発表して期待をあおりたかったのかな? まあ、これだけ騒がれれば宣伝効果はバツグンに高くなったともいえます。あと、空港シーンの規制も今になってようやく発表しましたね。ユーザーが海外版に流れてしまうのを恐れて不利になる情報をわざと流さないのは企業としては当然かもしれませんが、その態度はちょっと気に食わない。

今回に関しては、とにかく日本語版も世界同時発売ができていれば、海外版なんて買う人が少なかったと思うのに。時間のかかる吹き替えもいいですけど、まずは日本語字幕版を最短で出して、音声吹き替え版はまた後で発売するとかしてくれればなー。まあ、非現実的ですが。


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